AnsoftS PITZA バージョンアップのお知らせ

この度、弊社の半導体パッケージ内部熱インピーダンス抽出&分析ソフト AnsoftS PITZAがバージョンアップしました( R2021 ver1. )。

追加機能

  • JEDEC Auto Offset
  • 独自のオフセット機能(AnsoftS AI Offset)

これにより、JEDEC51-14による問題点を改善し、より正確かつ簡単に誰でもお使いいただける製品となりました。

従来の JEDEC51-14 を用いた方法では、最適なオフセット点の特定は、パッケージ内部構造情報から経験式により推定する為、測定経験が浅く原理がよく分からない方の場合は最適点が判断出来ませんでした。
そこで、弊社のJEDEC Auto Offset機能を追加する事でデータアナリティクス技術により最適な候補点を自動的に推定し、探し出してくれるよう改善しました。

もう一つの問題点としては、得られる値の信頼性でした。
JEDEC51-14では、測定時のスイッチングノイズによるデータエラー部分を、理論根拠が曖昧な経験式を用いて外挿補間しています。これは伝熱学理論から見ると、厳密にはこの式では初期温度点での温度が現実値と異なる上、更に熱インピーダンス(構造関数)を求める為に用いられる温度の時間微分値が無限大となり、現実にはあり得ない値となり不都合に思われます。


そこで、弊社ではJEDEC Auto Offset機能に加え、AIとデータアナリティクス技術を取り入れた独自のオフセット処理法(AnsoftS AI Offset)を追加しました。
この機能を用いると、伝熱学に基づく理論値にデータエラーを校正してくれます。つまり、過渡熱抵抗測定の豊富な経験や伝熱理論の深い理解を必要とせず、測定者や測定環境に左右されない誰が使っても一定で信頼性の高い構造関数が得られます。


また、前バージョンと同じく、得られた構造関数結果は1D熱回路シミュレーションモデル(ANSYS社製 TwinBuilder)に自動変換することが出来ます。このモデルは測定時と同じ条件が設定されていますので、後は実行ボタンをクリックするだけで簡単に実際に行った測定をバーチャルにシミュレーションで再現でき、このシミュレーション結果の波形と実測波形を比較することで、得られた構造関数の妥当性を理論的、定量的に判断することが出来ます。そして妥当と判断されたら、次に測定者の方々が望まれる関心事は測定結果の設計や開発への利用、応用だと思われます。AnsoftS PITZAは、この構造関数値を用いて更に3次元の熱流体CAE解析モデル( ANSYS社製 Icepak) 用の熱回路データを生成してくれますので、測定したデバイスを実装した基板や、デバイスを組み込んだモジュール機器等の熱解析シミュレーションによる設計・評価に繋げて行くことが出来ます。